畳は畳床・畳表・畳縁と、いたってシンプルな構造でできています。
畳は、幾重にも重ねた稲藁を締め付け、圧縮して作られた「畳床」に、経糸に天然のイグサを編みこんで織られた「畳表」を上からかぶせ、長辺に「畳縁」を縫い付けることで作られています。

現在では、科学技術の進歩や、住宅事情やニーズの変化に伴い、様々な素材が使われるようになりました。
しかし、畳自体の基本的な構造や製法に関しては、大昔から変わりありません。


畳床は、もともと稲藁を何重にも重ねてできた天然素材100%の「藁床」を使用しておりましたが、近年では住宅事情の変化や、藁自体の生産がすくなってきたこともあり、藁床に変わり木材チップの圧縮板で発泡スチロールをはさんだ軽い建材畳床が普及しております。

藁床は、昔から使われている最も優れた畳床で、お米を収穫した後の稲わらを使用した、自然の恵みそのものです。
積み上げると40センチ位にもなる大量の稲藁を何層にも積み重ね、およそ5センチほどまでに圧縮して縫い上げて作られます。
特徴としては、湿度調節機能や、防音性・防火性・断熱性・耐久性・復元力などにも優れており、他の床に比べて、足あたりが非常に優れています。
国宝「大徳寺方丈」には寛永十三年(1673年)の表記のある畳が112帖現存しています。稲わら畳の耐久性は歴史が認めています。

藁と藁の間に、ポリスチレンフォームを挟んで作られた床で、藁床に近い感触を持ちつつ、藁床より軽量で、湿気にも強い床です。
藁床にも言えることですが、藁の質や縫い目の細かさなどの作業工程などにより、床の等級が変わってきます。
さらに等級が落ちると、上下の藁の間に細かいゴモク(藁を細かくしたもの)を挟み込んで圧縮された床もあります。

細かな木材を圧縮したインシュレンボードと、ポリスチレンフォームを使った床で、フォームをボードで挟んだものや、ボードのみのものもあります。
特徴としては、安価で軽量、断熱性や耐湿性にも優れており、ダニも寄生しにくい面も評価できます。
しかし、藁床に比べると足あたりが硬く、また、フォーム入りのものはやや耐久性に難があるといえます。


経糸には綿糸と麻糸があり、麻糸の方が綿糸よりも丈夫です。
また、その組み合わせも綿糸のみのものから、綿と麻を組み合わせたもの、麻糸のみのものまであり、当然麻糸を使ったものの方が丈夫です。
経糸が丈夫であれば、それだけ多くのイグサを織り込む(打ち込むという)ことが出来るので、目の詰まった丈夫な畳表を織ることができ、かつ表面にきれいな山型が作られて厚みが増すために、足あたりや肌触りといった感触もよくなってきます。


5センチほどの厚さの畳床にはその材質に空気がしっかり詰まっています。
空気は熱を伝えにくいという性質があります。
つまり畳は冷たい空気をシャットアウトし、たくわえた熱を逃さない羽毛布団と全く同じ。
だからあたたかく心地よいのです。

夏は涼しく、冬はあたたかいという畳の利点を生み出しているのは、畳表のイグサと畳床。 イグサがスポンジとなって湿気を吸収し、畳床のなかの空気が湿気を放出しながら、効率的に呼吸しているわけです。
畳一帖分の自然吸湿能力は約500ml。
ゆっくり湿気を吸って吐く畳は、高温多湿の日本の気候に最適な床材です。

畳の表(畳表)のイグサがスポンジ状の構造で空気をたくわえ、フカフカした感触を生み出しています。
畳床にも空気はたっぷり。こうした空気がクッションとなり、寝ころべば心地よく、転んだときでも衝撃を和らげてくれるのです。
また畳の色は人間の皮膚に近い自然色。畳は安らぎの触感と視覚を与えてくれます。

畳のすがすがしく懐かしい香りはイグサによるものですが、イグサの香りには鎮痛効果があります。
また東大工学部の研究によって、イグサが人体にあまりよくない二酸化ちっ素を吸着する働きがあることが分かりました。
畳は空気を浄化しながら、私たちに森林浴と同じようなリラックス効果をもたらしてくれるのです。

畳の部屋はほかの部屋に比べて、静けさを感じます。
これは視覚的に「落ちつき」を感じるからだけではなく、実際に畳の空気が余計な音を吸収してしまうから。
衝撃を弱くする弾力性に加え、この吸音効果があるから、畳の部屋はいつも静かで、少々乱暴に歩いてもその震動や足音が弱まるのです。

            わ し つ に い い よ